沼と湖の国の音楽大使

 
  ヤン・シベリウスは19世紀ロマン派音楽の伝統を継承した最後の作曲家と目されるが、正にフィンランドの国民的音楽家と呼ぶにふさわしく、彼は終世「音楽大使」の称号を与えられた。
 彼の作品を支配しているのは祖国フィンランドの自然と歴史から啓発された深い感動に満ちた悲愁と孤独の精神である。
 ほの暗い伝説の世界への賛美の心と、森と湖に囲まれた素朴なフィンランド人の精神の息吹きが彼の音楽の本質である。

 フィンランドの第二の国歌とも云われる交響詩「フィンランディア」は、当初「スオミ」と名付けられた。「スオミ」とは「沼と湖の国」という意味を持つフィンランドの別名で、この国が発行するどの切手にも必ず "SUOMI Finland" と併記してある。
 帝政ロシアの圧政に苦しむフィンランド国民の反抗と、祖国の自然に対する賛美が表現された愛国的作品で、ロシア官憲に演奏を禁止されるほどに国民に大きな共感を呼び起こした。後に「フィンランディア」と改題された。





 シベリウス

 シベリウス

 生誕100年記念
(背景の楽譜は「フィンランディア」)

同左

                  

 彼の「トゥオネラの白鳥♪」は、フィンランドの伝説に基づく大叙事詩「カレワラ」の中に登場する

              黄泉の国トゥオネラの黒い川に浮かぶ美しい白鳥の姿を描いた傑作である
         また、戯曲「死」のための付随音楽の第一曲を改訂した「悲しいワルツ♪」は広く親しまれている

            珠玉の小品である。

 

 自筆の楽譜 アイ  妻アイノと彼の肖像画
     (アイノ37歳・シベリウス38歳)


 

 若くして見初め結婚した糟糠の妻アイノとの間には6人の娘が生まれたが、

             彼の生涯の大半は経済苦に占められたと云われる。「アイノラ荘」は彼が

             38歳の時ヘルシンキ郊外に建てて移り住んだ家で「アイノの里」という

             意味である。爾来91歳でこの世を去るまで53年間ここを棲家とした。

             夫妻は今もこの庭で永遠の眠りについている。

   


ピアノを弾くシベリウス

 トゥオネラの白鳥




(以上の10枚はすべてフィンランド発行)
 
 親友の画家カレラから贈られた

 おとぎ話の絵と彼の肖像画



                                             


生誕150年記念 

(ポルトガル)

同左





 生誕150年記念 
(フィンランド)

           

             

                       

                                            


(今流れている曲はシベリウス作曲『フィンランディア』です)